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介護保険制度改定に向けた意見書を
厚生労働省社会保障審議会・介護保険部会に提出しました!

2000年にスタートした介護保険は、施行後5年をめどに制度を見直すことになっています。このため、厚生労働省は社会保障審議会の介護保険部会を、昨年5月に設置し、介護保険制度の見直し議論を進めています。

生活クラブ連合会は、 4月26日に開催される社会保障審議会 介護保険部会にあてて意見書を提出しました。

意見の内容は、
@介護保険加入者権利の擁護
Aケアマネジメントの確立
B訪問介護サービス「生活援助」重視
C「施設」から「住まい」に向けた政策推進
Dショートステイの機能充実

E要支援・要介護1は介護保険制度の枠組み維持
F地域住民によるたすけあいの仕組み援助

などです。詳細は、以下の意見書をご覧下さい。

2004年4月13日

社会保障審議会介護保険部会御中

生活クラブ事業連合生活協同組合連合会
                               会長 河野栄次

介護保険制度改定に向けての意見書

 2005年度制度改定に向けての検討材料として以下のとおり、当連合会としての意見を提出させていただきます。利用者の立場に立って介護保険制度がさらに発展し、国民が安心して老いを迎えられる社会づくりをするため、私たちは生活協同組合の視点で議論を進めてまいりました。どうぞ、今後の議論の材料にお加えいただきますようお願い申し上げます。

1、介護保険加入者権利の擁護

@契約制度の認識強化

 介護保険導入後、「措置」から「契約」に移行しましたが、利用者が事業者と対等の立場に立って、サービスの選択、権利の行使が十分にできる環境は整っていません。未だに措置時代の「お世話になる」「お世話してあげる」意識が広く存在しています。その対策として加入者、事業者に対し介護保険制度の理念を徹底し、利用者の権利を確保するための宣伝活動がさらに必要と考えます。

Aサービス量の拡大と事業者の健全な競争

 要介護者数、要介護者本人・家族が必要とする期待サービス量に対しての供給は不足しており、「自由な選択」は実態として保障されていません。サービスの総供給量を増やすことによって利用者の選択の自由を推進することが必要です。また、社会福祉法人と、NPO、企業、協同組合等、他法人との条件格差を是正し、事業者の健全な競争のもとにサービスレベルを向上させることが必要です。

B成年後見制度の普及と介護保険

 介護保険制度における利用者の権利擁護のためには成年後見制度が活用されることが重要です。介護保険制度の認知度・活用度に比較すると成年後見制度の認知度・活用度は大きな落差があります。利用者、家族、事業者それぞれが成年後見制度の存在を認識し、権利擁護のために活用が進むような政策が求められます。

2、ケアマネジメントの確立

@ケアプラン報酬の見直しと事業自立の原則

 居宅介護支援事業者のほとんどは介護サービス事業者の中に組み込まれています。このことにより、ケアプラン作成時には利用者本人の選択以前に、当該事業者サービスメニューを優先したケアプランを組み立てられるのが現実です。(いわゆる囲い込み)

 利用者本人(家族)の意思を十分に聞き取り、本人に最適のケアプランを作成することが求められます。また、ケアマネジャーが該当エリア内の事業者の特徴、サービス内容を熟知し、公平、公正に連携をはかることが必要です。したがって、居宅介護支援事業は自立できることが必要です。

 しかし、現在の報酬単価では事業自立は困難です。利用者のニーズを十分反映したケアプラン作成を考えると標準担当件数は30件〜40件程度で、居宅介護支援事業のみで事業成立するよう報酬単価の引き上げ、制度改革を求めます。

A居宅介護支援事業所と在宅介護支援センターの連携

 ケアプラン作成は市場に任せるのではなく、公的なものと捉える視点も必要です。在宅介護支援センターは公的なものとして存在し、その役割はケアプラン作成にもつながっていきます。居宅介護支援事業所は常に利用者側に寄り添い、事業者側ではなく、利用者個人の側に立って最適のプランを作成しなくてはなりません。事業独立した上で、在宅介護支援センターとの深い連携をとるしくみづくりが必要ですし、介護保険適用の上でもそのような扱いが必要と考えます。

Bサービス調整会議開催の徹底

 サービス調整会議は定期的に開催することが原則となっていますが、実態の開催状況は不十分です。ケアマネジャーが会議を主催し、福祉・医療関係者が一堂に会し、利用者、家族の希望を踏まえたうえでの調整を十分に行わなくてはなりません。会議の位置づけを高め、医療関係者も含めた開催を義務づけることを明確化してください。

3、訪問介護サービス「生活援助」重視

 連続した時間の中でのケアサービスは、身体介護と生活援助を明確に切り分けておこなうことが困難です。また、生活援助は利用者のこれまでの生活のあり方を詳細に把握し、その家庭の特徴に合わせることが必要になります。したがって、豊富な生活経験や、家事に関する高度な技能も求められます。生活援助は利用者が重介護にならないようにサポートするため、重要な役割を果たしており、今後の介護保険制度運営の観点でも大きな意味を持ちます。訪問介護サービスにおいて「身体介護」と「生活援助」が同等に取り扱われるよう求めます。

4、「施設」から「住まい」に向けた政策推進

@特別養護老人ホーム

  「施設」である特別養護老人ホームは個室、ユニットケアを導入することによって多少なりとも「住まい」に近づきました。今後、さらに既存施設の個室化、ユニット化を、速度を上げて進めるべきと考えます。

Aグループホーム・有料老人ホーム建設の促進

 グループホームについては総量規制の検討がされていますが、要介護者の大半を占める痴呆性高齢者のニーズに応え切れる量はまだまだ確保されていません。殊に、大都市部においては政策的に大量のグループホームを設置することが必要です。グループホームは2ユニットまでの制限が設けられましたが、ユニット数を制限することに意味を持つのではなく、ユニットごとに独立したケアが保障されるかどうかに意味があると判断します。この観点から、事業者が積極的に都市部に開設し、安定的な経営ができるような配慮が必要です。また、「施設」ではなく「住まい」を増やしていくために有料老人ホームの設置もさらに必要になります。設置主体を広げたことによるケアの質の低下が懸念されていますが、供給を豊富にした上で適正な競争のもと、質を向上させることが必要です。

B都市型高齢者住居の確保

 小規模多機能サービス拠点を全国的に広げていく方針に期待を持つと同時に、大都市部においては地価の問題等から進捗に課題を持たざるを得ないと考えます。 元気な高齢者が入居できる高齢者優良賃貸住宅にデイサービスセンター、ショートステイセンターを併設する等、各制度を併用しながら住み慣れた地域において、ひとつの拠点で暮らし続けられるしくみづくりを積極的に推進すべきと考えます。

5、ショートステイの機能充実

 ショートステイは在宅支援の機能と位置づけられていますが、実態はほとんどが入居施設である特別養護老人ホームに「融合」されています。そこに住み続けている人の中に、普段関わりの無い人が入ることによって、入居者もショートステイ利用者も混乱することが多く、そのことに対する十分なケアを行うことは極めて困難なことです。ショートステイは在宅サービスの一環として特別養護老人ホームの機能と明確に切り離し、デイサービスセンター等との併設が望ましいと考えます。 現状では特別養護老人ホームに併設することで、成り立ちうる介護報酬となっていますが、前記の考え方を踏まえ、ショートステイだけでも事業自立できるような報酬単価を設定することが必要です。

6、要支援・要介護1は介護保険制度の枠組み維持

 財政の問題から絶対数の多い要支援・要介護1を枠組みからはずすことが議論の遡上に上っていますが、この件については現状を維持するべきです。認定者の数自体は多くても、施設入居者が少ないこと、サービス利用時間が少ないことから介護保険給付比率は低い状態です。したがって、この部分の給付が減っても財政への影響度は大きくありません。むしろ、枠組みからはずすことによって介護サービス供給がなくなり、介護度が高まるまでの期間が短くなってしまう危険性が憂慮されます。そうなると、介護度の高い利用者が急増することによって逆に財政を悪化させる結果となってしまいます。要支援、要介護1の対象者がその介護度で維持し続けていることを積極的に評価してください。

7、地域住民によるたすけあいの仕組み援助

 地域住民によるボランティア活動や非営利のNPO法人、ワーカーズコレクティブ、生協、農協などの福祉活動は介護保険制度導入前から長年に渡って地域に浸透してきました。高齢者、障害者のケアは介護保険制度のみで完結できるわけではなく、全生活における部分的な支えに過ぎません。心のケアや、日常生活のちょっとしたケアができることによって、要介護状態になるまでの速度が遅くなったり、要介護状態になった後の介護度を上げないことに大きな効果が出ると考えます。このことは介護保険財政にも間接的に大きな影響をもたらします。地域住民の身近な組織が介護保険の枠組みでも参入し、継続的な活動を続けることができるようにすることが必要です。そして、介護保険の枠外でも国や地方自治体がそのような組織をサポートする制度はさらに充実することが必要です。

以上

生活クラブ事業連合生活協同組合連合会

 1968年世田谷区で牛乳の共同購入を始めた住民組織が生活クラブ生協を設立。その後、首都圏をはじめ、北海道から愛知県まで16の都道県に組織が広がった。各県の生活クラブ生協(神奈川県の福祉クラブ生協含む)の連合組織。組合員数は26万世帯。国内自給を基本政策とし、産地直送の安全な材を共同購入している。供給高は750億円。

 80年代前半から組合員が主体になって、たすけあいワーカーズ、NPO法人等で福祉活動を広げてきた。生活クラブ生協自体も介護保険の事業者となりながら、社会福祉法人等、福祉関係団体を多数設立。生活クラブグループ関連団体福祉事業2003年度実績は、利用者約30,000人、事業高70億円、事業所数400箇所となっている。

 

2004年5月12日 生活クラブ連合会

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