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GMO食品関連についての意見書

1997年10月15日


日本生活協同組合連合会
         理事会   御中
                                生活クラブ事業連合生活協同組合連合会
                                                                     理事会


日本生協連は、竹本会長理事名で、政府に対して「遺伝子組換え食品に関する要望書」を提出しました。(97年4月28日)
同文中「安全性については、厚生省の安全性評価指針に沿って評価されており、 直ちに問題にするようなレベルの危惧は見当たらないと判断する」と記しています。その上で「消費 者の選択権を保障する表示」と「社会的合意形成の為の情報公開」 を要請しています。
「直ちに問題になるレベルの物が食品と言えるのか」という揚げ足どりは別として、以後 の日本生協連のこの件に関する態度表明は、流通業界での先駆性にもかかわらず「日本生協 連のGMO関連食品、食品添加物、飼料、及び飼料添加物等における安全宣言」として、ま たそのガイドラインは「表示をめぐる事業防衛商品政策」としてしか、社会的に評価されて いません。
一事業団体の商品政策については関知することではありませんが、日本の生協のナショ ナルセンターとしての見解と社会的にみなされることについて、いささか異議があります。
よって以下諸点についての当方の見解を示しつつ、貴連合会に対する意見提出とするもの です。


1. いわゆるニュ−バイオテクノロジ−の発展経過と、その商品化については「消費者の視点」で問題を整理すべきです。

(1) 少なくとも、遺伝子組み換え技術のもつ潜在的危険性を考慮し、実験モラトリアムを勧告した「バ−グ声明」 (1974年)、それを受けて開かれたアシロマ会議(1975年)は、 科学者たちの社会的良心の表明と一般的に評価されていますが、 それよりも技術的研究推進への関心が先行しています。

(2) アメリカのNIH(国立衛生研究所)が「組換えDNA分子に関する研究のための指針 (ガイドライン)を発表し(1976年)、先進工業国も続いて指針を発表しました(日本 は1979年−文部省指針)。科学と政治とが、かくも速やかに一致した例はあるでしょ うか。

(3) 以来、学界も産業界もDNAフィーバーを起こし、政治家も要請を受けて予算獲得に 動き始めました。学界、産業界、政界のみつどもえの動きは、決して社会的理解や、 それらが消費者に最終的に商品となって流通することを、配慮したものではなかった と言えるでしょう。

(4) 1991年FAO/WHOは、「バイオテクノロジー応用食品の安全性評価のための戦略」 というレポートを出した。同レポートは、バイオテクノロジーでつくられた「植物・ 動物」由来の食品及び食品添加物の安全性評価の規範を示している。しかしその内容 は、「科学技術の危険性と科学技術進歩への配慮」「産業界への配慮と、商品化過程 での技術的不信」「消費者に対する説得と情報公開の不十分さ」など、矛盾に満ちた 内容でもあります。

(5) 貴連合会の本件に関連する文書は、上記に対する消費者としての主体的分析もなく、 従って、その安全宣言も、情報公開に関する提言も、説得力あるものとなっていません。
単なる現状追随と言われてもしょうがないでしょう。


2.「消費者の不安」「消費者の権利」について時代感覚がずれています。

(1) この時代、消費者の不安というものは、決して未知の科学やそれに関する情報の非公 開性だけに留まりません。根源的にあるのは「消費者の不安」が、この社会に対して 健全に働くという「正当性」にあるのです。
未来に思いを馳せたり、或いは仮説を自ら実行する中で、「不安の正当性」を実証し てきたのが消費者なのです。

(2) その消費者の不安を「拒絶反応」とか「疑心暗鬼」と呼ぶのは、貴連合会の時代錯誤 性を示すものです。
狭い領域で科学技術のみを唯一とする科学技術者や、傲慢な官僚がいうならばいざ知 らず、消費団体を自称する日本の生協連が言う言葉ではありません。

(3) 当然、「消費者の権利」といわれるものも、アメリカのケネディ大統領が消費者保護 のために、打ち出した「四つの権利」の時代とは変わってきています。
もはや「消費者の権利」は保護の対象というレベルではなく、「人々がどう生きるの か」を考えるとき、欠くことのできない「基本的人権」としてあるのです。

(4) 従って、その視点もなく、科学技術安全性や、流通上の合理性を先行させ、結果とし ての「選択の権利」を保護しようなどという態度は、許し難いことなのです。


3. 科学技術の進歩とその商品化の間には一線を画し、常に消費者としての批判的態度を保つべきです。

(1) 今日ほど、科学技術の進歩とその商品化がスピードアップされている時代はありません。
むしろ商品化競争が科学技術の進歩を強制しているとも言えるでしょう。科学者の多 くは、一分一秒でも早く、自らの研究成果を他者に先んじて確定し、産業界もまた、 その成果を知的所有権として確立しようとしています。

(2) このような時代の科学技術の進歩とその実用化に伴うリスクは、著しく高いと見るべ きでしょう。そのリスク増大に対して抵抗するのは、自らをその実用化において試される消費者以外ありません。

(3) 貴連合会は言います。
「遺伝子組み換え技術を含む科学技術実用化にとって(効果と場合によって起こりう るリスクとの)相対評価に基づく選択判断こそ重要で、今日の科学の到達点は ―そ の判断を可能にしたということです」

(4) 科学技術実用化にあたって、消費者に「メリットに対して多少のリスクは当然」とい うが如き態度は、強引に実用化を進めてきた産業界と類似しています。

(5) 今や消費者は、メリットを削減してもリスクを減少したいし、その為に消費態度を改 めようとしているのです。そのような消費者精神は、信用できないと貴連合会は言われるのでしょうか。


【参考文献】
(1) 第1回全国商品事業委員会報告集(97年7月15日)

(2) 遺伝子組み換えと食品に関する要望書(97年4月28日)

(3) 生協運営資料177(97年9月)鼎談「遺伝子組み換え食品をどう考えるか」、 同「遺伝子組み換え作物関連の食品の情報管理・提供に関して」

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