| 設立趣意書
20世紀は、人類史上最も科学技術が発展した世紀でした。そして、私たちは歴史上かつてないほどの物質的豊かさを享受してきました。
しかし、科学技術の発展と表裏をなすように生まれた経済合理主義によって、社会には経済的で効率的なものだけを優先する価値観が蔓延してきました。
「遺伝子組み換え作物」「遺伝子組み換え食品」もそのような経済価値によって生み出されたものであると、私たちは考えます。
遺伝子を組み換えて、これまで自然界では起こりえなかった生命体を創出する技術は1976年アメリカにおいて初めて試みられました。その後、この技術を応用した「遺伝子組み換え作物」はアメリカの国家戦略の一環として位置付けられ、モンサント社をはじめとする多国籍企業の特許販売商品となってきました。
近年、この「遺伝子組み換え作物」についての是非の論議が世界的に巻き起こり、FAO(国連食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)の合同食品規格委員会=コーデックス委員会のバイオテクノロジー応用食品特別部会で安全性や環境への影響が審議されています。
このような世界的な是非論争が渦巻く中、日本では1996年秋に遺伝子組み換え作物の輸入認可、国内流通が始まりました。私たち、関西生活協同組合連合会、生活協同組合連合会グリーンコープ連合、生活クラブ事業連合生活協同組合連合会は、いち早くそれぞれの地で、提携生産者、また各地の市民団体とともに遺伝子組み換え食品に反対する運動に取り組んできました。
私たちは取り扱い食品の見直しを行い、提携生産者と協力しながら可能な限り遺伝子組み換え原料を排除し、畜産物の飼料についてもnon―GMO(非遺伝子組み換え)化を進めてきました。また、共同購入カタログでは全国でも類を見ない遺伝子組み換え原料や飼料の使用の有無表示を行なってきました。さらに、組合員や提携生産者の間で学習を深め、社会的にも遺伝子組み換え食品の問題を訴え、反対の声を新聞意見広告などの形にしてきました。このような生協を初めとする多くの提携生産者、また市民の連帯運動の結果、「安全性審査の義務化」「2001年4月からの表示義務化」を獲得し、開発企業の撤退・規模の縮小を促し、米国での遺伝子組み換え作物作付けの減少へと導くことが出来ました。
世界的にも「遺伝子組み換え食品」への大きな反対のうねりが起こっています。ヨーロッパ・EUでは表示義務化・輸入禁止措置に踏み切り、オーストラリア、ニュージーランド、韓国でも表示がなされ、アジアの国々では生産者の反対運動も大きな広がりを見せています。
一方、すでに日本で認可されている遺伝子組み換え作物は7作物29品種となっています。特定の除草剤をかけても枯れない遺伝子や、殺虫成分をもつ遺伝子を組み込んだ大豆やナタネ・トウモロコシ・ジャガイモが豆腐やサラダ油、ポテトチップスなどに形を変えて日本人の口に入っています。ラットに遺伝子組み換え作物を食べさせると内臓障害が起こるという実験や、遺伝子組み換え作物の種子を蒔いた畑で昆虫の寿命が短くなるという報告があります。日本は大豆やナタネ・トウモロコシをほぼ100%輸入に頼っており、日本人は、安全性が確認されないままの遺伝子組み換え作物を世界で一番食べている国民ということになります。
今、遺伝子組み換え作物の流通を進めようとする国家や多国籍企業は、日本、アジアを標的に「遺伝子組み換えイネ」の開発・販売の動きを急ピッチに進めています。これまでの大豆やナタネ・トウモロコシ・ジャガイモなどの遺伝子組み換え作物第一世代に対する反対運動への巻き返し策として、「低アレルゲン」「栄養強化」「病気耐性」など消費者や生産者へのメリットを前面に掲げて「遺伝子組み換えイネ」の推進に躍起となっています。日本国内ではすでに2000年4月現在、12種類27系統の「遺伝子組み換えイネ」の栽培実験が行われ、市場に出廻るまであと一歩の状況です。
「稲」は日本やアジアの人々にとってはその国の主権存続に関わる大切な「主食」であり、さらに『いね・米・ご飯』というように私たちの暮らしに大変密接な「文化」を育んできた重要な作物です。「遺伝子組み換えイネ」の登場は食の安全性だけではなく、田畑を含むその国の自然環境・生態系を大きく破壊してしまう危険性があります。と同時に、アメリカ・カナダなどの多国籍企業の「種子の支配」が目論まれており、「国内自給力向上」の道が絶たれかねません。「遺伝子組み換えイネ」の登場を許してしまうことは、これまでの大豆やナタネなどの遺伝子組み換え作物第一世代に対する取り組みも水泡に帰してしまうことになります。
私たち、関西生活協同組合連合会、生活協同組合連合会グリーンコープ連合、生活クラブ事業連合生活協同組合連合会は、「国内自給力向上」「生産者との提携」の方針の基に一貫して国内農業者との産直提携を続けてきました。その提携の中でも主食である「米」の取り扱いは三生協連合会あわせると約16,500トン、ご飯にして約2億2千万膳分と、規模としても、また組合員の産直活動の蓄積としても大きな位置を占めています。
これまでそれぞれの地で遺伝子組み換え食品に反対する取り組みを進めてきた三生協連合会がまずここに手を取り合い、62万世帯の組合員の食べる力を結集していきます。
そして、提携生産者をはじめ多くの生産者(団体)とともに「遺伝子組み換えイネ」の登場を阻止する運動を作り出していきたいと考えます。また、これまで以上に全国の遺伝子組み換え食品に反対する協同組合や市民団体、さらには、アジアをはじめ世界各地の協同組合や市民団体と連携し、全国的に、全世界的にこの動きを進めていきたいと考えます。
2001年3月のコーデックス・バイオテクノロジー応用食品特別部会、2002年の特別部会を経て、2003年にはコーデックス委員会で「遺伝子組み換え作物の世界標準規格化」の答申が取りまとめられる予定になっています。遺伝子組み換え作物の第二世代である「遺伝子組み換えイネ」の登場を阻止し、「遺伝子組み換え作物の世界標準規格化」を成立させず、すべての遺伝子組み換え作物の作付け・流通を実態化させない取り組みを進めましょう。
本日、私たちはここに「ストップ!遺伝子組み換えイネ生協ネットワーク」を設立し、消費者・生産者を軸にした全国民的・全世界的な「遺伝子組み換えイネ いらない・食べない・つくらない」運動を推し進めていくことを宣言します。
2000年12月21日
関西生活協同組合連合会
生活協同組合連合会グリーンコープ連合
生活クラブ事業連合生活協同組合連合会
■■■ストップ!遺伝子組み換えイネ生協ネットワーク
■■■2001年度活動計画
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