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とれたてNEWS

  食品安全委員会第22回プリオン専門調査会において、「我が国における牛海綿状脳症(BSE)対策に係る食品健康影響評価」(案)が作成され、パブリックコメントを募集していますが、BSE対策の見直し案に対して、生活クラブ連合会は、断固反対する意見を表明しました。 (2005年4月26日)

内閣府食品安全委員会事務局評価課内
わが国における牛海綿状脳症(BSE)対策に係わる食品健康影響評価(案)に関する審議結果(案)
意見募集担当御中

わが国における牛海綿状脳症(BSE)対策に係わる食品健康影響評価(案)
に関する審議結果(案)への意見

 (法人名)生活クラブ事業連合生活協同組合連合会
(所在地)〒160-0022 東京都新宿区新宿6-24-20

1.基本認識 
  2001年9月、日本において初めて、BSE感染牛が確認されました。報道を通じBSE感染牛の感染原因やその感染経路などの情報が錯綜する中で、農林水産省をはじめとする行政の後手後手の対応やずさんな実態把握の事実も明らかとなり、日本中がBSEパニックに陥りました。そうした状況において、国は消費者の牛肉に対する不安の払拭と信頼を取り戻すべく、同年10月より、肉用牛(廃用牛含む)の全頭検査とSMR(特定危険部位)のと場内廃棄を決定し、さらに牛の個体識別管理の徹底をその対策として実施しました。

 BSE対策が実施される中、2002年4月農林水産省・厚生労働省両大臣の私的諮問機関である「BSE問題に関する調査検討委員会」の最終報告が発表され、BSEをめぐる農林水産省の対応を「重大な失政」とした上で、それまでの行政の「旧態依然たる食糧難時代の生産者優先・消費者保護軽視の体質」や、縦割りと言われる農林水産省・厚生労働省のあり方そのものを批判しました。

 さらに、今後の行政対応のあり方として「農場から食卓までのフードチェーン思考」のもとに、「トレーサビィリティ」「情報公開」「市民参加」「予防原則」等の考え方にも言及し、その後に発足した内閣府の食品安全委員会(2003年7月)においては、関係省庁の横断的な対応と消費者の立場に立つことを目指した21世紀の食品安全行政を推進する体制として、当会はその姿勢を支持すると共に大きな期待を寄せていました。

 そうした中で、2004年9月に行なわれた食品安全委員会において、「異常プリオン検出限界以下の牛を検査対象から除外するとしても、SMR(特定危険部位)除去という措置を変更しなければ、ヤコブ病のリスクが増加することはないと思われる」との中間とりまとめが出され、この見解を踏まえ政府は若齢牛を検査体制から除外する方向で調整に入りました。

 こうした背景には、米国産牛肉の輸入再開を求める米国(と業界)の圧力が具体的に関係していることは誰の目にも明らかであり、BSE問題の総括の上に立って再スタートを切ることを期待された日本の食品安全行政が、同じBSE問題によって消費者の立場に立つ視点を自らが放棄しようとしています。このことは、多くの国民の期待を裏切る行為であり断じて容認できることではありません。

 1980年代から、英国をはじめとするヨーロッパの国々において発生したBSE感染牛問題は、1996年国内においても牛肉に対する安全性を問う事件として大きな関心が寄せられました。これ以降当会は、徹底したトレーサビリティに基づく原料管理、飼料の管理、と畜方法の見直しなどをすすめ、安全な牛肉の確保はもちろんのこと他の食品や非食品においても、使用される牛由来原料の安全性の確保に向けて生産者と共に努力を重ねてきました。その上で、2001年10月以降の全頭検査の施行とSMR(特定危険部位)除去の実施という行政的措置により、当会のBSE対策は実効的な対策として完結したと考えています。そして、未だBSE感染の原因解明がされない中においては現在の一連の対策を継続した上で食の安全性を確保する姿勢を貫き、緊張感を持ってこれからも望みたいと考えています。

以上の基本認識に基づき、当会は全頭検査体制の継続(国産・輸入を問わず)を主張します。以下に意見を付してこの主張を補完すると共に、国内の牛肉流通においてダブルスタンダードとなるような検査体制の見直しに対しても反対を表明します。

2.個別問題意識

1)全頭検査をはじめとするBSE対策の見直しに断固反対します。

 今後、米国産牛肉の輸入再開条件について食品安全委員会プリオン専門調査会が、再開条件評価についての審議を行ないます。しかし、米国においては豚や鶏の飼料原料に未だ牛由来の肉骨粉使用が認められているため、飼料製造や流通における「交差汚染」の可能性が残ります。また、SMR(特定危険部位)の除去に関して30ヶ月齢以下の脳と脊髄は認定していないことや、膨大な飼育頭数により個体識別はおろかトレーサビリティ体制にも不安が残り、こうした実態は、日本の消費者の理解を得られるレベルには遠く及ばないと考えます。全頭検査の科学的根拠論議以前にまずこの実態が改善されるべきであり、この現状が改善されない限りにおいては、輸入再開それ自体が問題と考えます。

 国民の合意を無視し、米国産牛肉の性急な輸入再開に道を開く、全頭検査をはじめとするBSE対策の見直しに断固反対します。

2)食品安全行政に対する消費者の信頼回復を最大限優先するべきです。

 日本でBSE感染牛が発生し、直後に極端な牛肉離れが進行しました。こうした傾向が徐々に解消されてきた背景として、この間の全頭検査体制があったことは紛れも無い事実です。確かに全頭検査は世界的に見ても特異な対策であり、過剰ともいえる一面があることは当時から指摘されていました。しかし、全頭検査は、当時殆どの国民が感じていた食品行政への不安と不信に対する安全・安心の担保であり、そして何よりBSE感染の発生原因やその発生経路が依然として未解明である事実に対する安全・安心の担保であったと理解しています。

 BSE感染の原因究明と予防策の構築をはじめ、若齢牛検査の課題を克服する検査制度の向上などの万全な組立てがまとまる以前においては、全頭検査をやめることは本末転倒であり、全頭検査までせざるを得なかった食品安全行政そのものの反省に立ち、消費者の安全・安心を担う食品安全行政の構築を対策の最優先とすることを強く求めます。

3)生産と流通に関する適正な情報開示と国民の合意が得られるBSE対策を求めます。

 ここ数年の食品偽装事件や不正表示問題は、表示を根拠とする消費者の購入権利を無視した行為として絶対に許されることではありませんが、多くの消費者はそうした体質に直接的間接的に直面した経験を通じ、生産や流通に対しより適正な情報開示を求める姿勢が強まっています。そうした状況の中で、大きな進展や改善が見られないまま米国(と業界)の圧力で米国産牛肉の輸入が開始されたとしても、日本の消費者の多くは米国産牛肉を敬遠することは誰の目にも明らかなことです。従って、混乱を招くだけの米国産牛肉輸入再開は止めるべきで、国民が納得できる条件のもとで安全性が確認されたものに限定するべきです。

 生産と流通に関する適正な情報開示をさらに強化し、国民の合意が得られるBSE対策とその実行を改めて求めます。