このたび、食品安全基本法案骨子(案)が発表され、その基本理念として「食品の安全性の確保を総合的に推進すること」が謳われました。ところがその実行策といえば、「食品安全委員会の設置」と「食品健康影響評価の実施」でしかなく、食の安全と消費者・市民の健康を実現できるとは考えられません。よって法案の目的に照らし、その内容を根本的に見直すことを求めます。
1、 食の安全を脅かす諸問題の根本的・構造的解決を目ざすこと
今日、食べ物は何故ここまで不安なものになってしまったのでしょうか。その原因は第一に、食品添加物や農薬といった化学物質、あるいは放射線照射、遺伝子組み換えといった新規の食品技術を規制するどころか、容認・推進してきたことにあります。
そして第二には、農産物・食料貿易の自由化を進めることによって、生産地と消費地は途方も無く遠ざかるとともに、流通経路が極めて複雑になり、消費者はおろか、食品に関わる生産者・流通業者でさえ、何がその食品に含まれているのかを知ることができなくなったことに起因しています。
この現状を改革することなく、食品の安全度=危険度を評価しても、食の安全に関わる事件は今後も増えつづけざるを得ないことは明らかです。
1)化学物質の使用を削減するとともに新規食品技術を規制・制限すること、2)食料自給率の向上に取り組むことこそ、「国、地方公共団体、食品関連事業者、消費者の役割と責務」であるべきです。
2、予防原則に基づいて施策を実施すること
「国民の健康が保護されることが重要である」のならば、「食品の安全性の確保のために必要な措置」は、「科学的知見」や「国際的動向を十分に配慮する」よりも、予防原則を基本とすべきです。
化学物質や新規食品技術がどの程度、健康に影響があるのかについては、長期に渡る摂取の結果しか判明しえないことは過去に生じた様々な事件からも明らかです。
被害者が出てから対策を講じるのでは手遅れであり、「人の健康に悪影響を及ぼすおそれがある生物学的、化学的若しくは物理的な要因」がある場合は、「影響についての評価を原則として実施する」のではなく、予防原則に基づき、使用・供給を禁止すべきです。
3、 消費者・市民の自己決定権を確立すること
食品を購入し、食べ、影響や被害を受けるのは消費者・市民です。これまでの行政の怠慢と業界寄りの体質を払拭し、政策を根本的に転換するためには、食の安全性に対する消費者・市民の自己決定権を確立すべきです。
@ 食の安全性を確保することを消費者・市民の権利として確立すること。
A 消費者(団体)代表が食品安全委員会の過半数を占めること。
B 「食品健康影響評価」と「その結果に基づいた施策の策定」にあたっては、経過に関する情報(委員会で用いられたデータ、委員の発言・議事録、及び委員の利害関係等)を全て開示すること。
また、「関係者相互間の情報及び意見の交換の促進」にとどまらず、関係者の参加による協議会の設置や公聴会の開催等を広く実施し、消費者(団体)の意見と利益が反映できる仕組みを作ること。
C 「食品安全委員会」の権限と役割については、「関係大臣に勧告」あるいは「関係行政機関の長に意見を述べることができる」といったあいまいさを改め、強制力を持つ機関とすること。
D「食品安全委員会」を、既存の省庁から独立した機関とすること。
4、国内コーデックス委員会を設立すること
現在、食品に関する様々な国際基準はコーデックス委員会で決定されており、それは日本の基準に対しても影響・拘束力を持つにも関わらず、その対応方針は消費者・市民が全く預かり知らぬまま行政機関の個別担当者に委ねられているのが現状です。
コーデックス委員会の決定に巨大な多国籍企業が圧倒的な影響力を有していることを鑑み、消費者・市民代表を中心とした国内コーデックス委員会を設置し、消費者の権利・保護に則った方針を策定・提案すること。
以上